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レース終了直後の有馬記念レビューは「本社の見解・レース結果・レース回顧」のページに記しましたが、ここでは翌12月26日朝に思い立った感想を徒然書いてみます。

2005有馬記念。多くの耳目をひきつけた主役はディープインパクト。
シービーでもない、ルドルフでもない、ブライアンとも違う。
まさに異次元的な走りで無傷の三冠達成。
この馬の走りを見たのをきっかけに競馬をはじめた人も多いだろう。
この有馬ではじめて馬券を買った人も多いだろう。 

レース後。

その人たちはどう思ったか。

「なんだディープ弱いじゃないか。損したぞ。競馬なんか二度とやるものか。」

「なぜディープは負けたのだろう。みんな絶対勝つって言ってたのに。」

という、二つの思いに分かれるだろう。

前者の方はそれまで。後者の方には是非この2005有馬記念のレースをしっかり記憶にとどめていただき、競馬を研究していただきたい。
なぜなら今後の競馬研究の材料として格好のサンプルだからだ。
それは決してビギナーだけに限らない。

そのレースの本質はレース直後の騎手の談話に如実に表れる。

2人気ゼンノロブロイ(8着)デザーモ:
「スタートで内の馬に激しくぶつけられた。その時に脚を痛めたのではないか。」

3人気デルタブルース(11着)ペリエ:
「勝負処の4コーナーで他馬とぶつかる不利。一度スピードが鈍ると取り戻すのは大変。」

6人気リンカーン(3着)横山典:
「最後直線で内から(コスモバルク五十嵐冬に)寄せられたのが痛かった。後味が悪い。大レースで多すぎる。」

不利を受けた3騎手の談話だけ取り上げたが、競馬とは常にこういうものだ。

デザーモとペリエは多少エクスキューズも含まれているが、まともならもっと好勝負だったろう。あれほど惨敗する馬ではない。語気を荒げた横山典のリンカーンは(五十嵐冬は戒告処分)もしかしたら2着はあったもしれない。

これを言ったらお終いだが、同じメンバーでもう一度レースをしたら結果は変わる。

結局、有力馬の中で道中何の不利も受けなかった2頭が1.2着。
好スタートを利し、固定観念にとらわれず、好位から積極的な競馬をしたルメール=ハーツクライ。
自分の競馬に徹し、いつも通り大外からメンバー中最速の上がりで追込んだ武=ディープインパクト。

追い切り日が二転三転、人間側のドタバタ劇もあったが、ディープの状態面にやはり問題もあったのだろう、と私は推測する。
以前から気にかけていたこ とだが、デビュー以来少しずつ減り続けている馬体重(デビュー当時452キロ→有馬440キロ)。

そして単に時計のみの比較はナンセンスかもしれないが、 皐月賞、ダービー、菊花賞時とは全体で約3秒、上がりで約1秒遅かった最終追い切り時計。
いつもの調教パートナー、フェイトトリックスを交わすときの動き も明らかにいつもより劣っていた。万全の状態ではなかった、と私は思う。

しかしそれでも最後方追走から4角大外のいつも通りの横綱相撲。残り1ハロンでリン カーン、コスモバルクを並ぶ間もなく交わし去り、ハーツクライにゴール前、半馬身差まで詰め寄ったのだからディープは強い。

この敗戦で2006年海外挑戦の夢は水泡に帰したが、馬体を戻し、十二分に立ち直ってきさえすれば、現役最強馬の称号を得るのは時間の問題。まずは来春の天皇賞。秋は天皇賞、JC、有馬だ。


トップラインにとって年間で312分の1レースにすぎない有馬記念。
しかしレース後、いろいろな思いを馳せられた有馬だった。

1973年ストロングエイト、1977年テンポイント、1984年シンボリルドルフ・・・
これらの年に匹敵する、記憶に残る有馬だった。

会員様の中には、なぜハーツクライでなくタップダンスシチーなのか?
という疑問を抱かれた方も多かったと思う。
だが、これがトップラインが20年間貫いてきた予想スタイルなのです。
結果、タップは12着と惨敗しましたが、それはあくまで結果論。
ハーツがいつも通り後方からの競馬ならば、タップにかかるプレッシャーは軽かったはず。

展開最重視、「逃げ・先行絶対有利」というトップラインの信念を曲げ、タップを外し、もし残られたときのダメージは計り知れません。
また、古くからの会員様の信頼を失うことにもなります。

2004年の有馬のように、いい結果を残せず残念でしたが、トップラインの信念は貫きました。

2005中央競馬は終了しましたが、すぐに2006中央競馬が、新しいドラマがはじまります。

さらなる的中率および回収率のアップを図るため、より一層の情報力向上に努めてまいります。

新年度2006中央競馬もトップラインをよろしくお願いいたします。 

 

2005/12/26  トップライン代表:渡辺孝男